パートナーとのゴールといえば、最近では事実婚の選択肢も増えてきました。
事実婚の選択肢が増えたといっても、事実婚をするメリットについてよく分かっていないという人も多いのではないでしょうか。
そこで、手続きの少なさや夫婦別姓など、事実婚をすることで得られる8つのメリットを解説しました。
さらに、事実婚のデメリットについても詳しくまとめたので、事実婚を検討するときの参考にしてみてください。
そもそも事実婚とは?結婚(法律婚)・事実婚の違いを解説
そもそも結婚と事実婚の違いは何でしょうか。
結婚や事実婚の定義を解説し、違いをまとめました。また、事実婚と同棲するカップルの違いについても解説しています。
なんとなくでしか分かっていない事実婚について確認してみましょう!
結婚(法律婚)は婚姻届を出した形
結婚は、婚姻届を市町村に提出して成り立つものです。法律婚、届出婚と呼ばれることもあります。
法的に夫婦であることが認められた関係です。事実婚を選ぶ人もいますが、現在も結婚を選ぶ人が圧倒的に多く、最も一般的な形となっています。
事実婚は二人に婚姻の意思があることが大切
事実婚を一言で表すなら、婚姻届を市町村に提出していない夫婦です。ニュースで耳にすることがある内縁も事実婚と同じことを意味しています。
ニュアンスが異なり、事実婚は自分たちの意思で婚姻届を提出していない夫婦、内縁関係である人はなんらかの事情によって婚姻届を提出できないため事実婚状態である夫婦と捉えられることが多いです。
事実婚の定義には、3つのポイントがあります。
- 夫婦であるという認識がお互いにある
- 同棲している
- 社会的に夫婦として認められている
第一に必要なのが、お互いに夫婦であると思っているかどうかです。婚姻届けを提出していない以上、お互いの認識が大切になります。
基本的には、同棲していることが必要です。ただ、連れ子がいて同棲することが難しいなどの理由があれば同棲をしていなくてもOKです。3年ほど同棲していれば、事実婚と認められることが多いでしょう。
周りから夫婦として認められていることも必要です。婚姻届を提出していなくても、子供を認知していたり、事実婚を結ぶという内容の契約書をかわしたりといったことで公的に夫婦として認められる方法もあります。
事実婚に明確な条件はありませんが、大体この3つのポイントが定義として考えられることが多いです。まずは自分たちが夫婦であるということを認識することが大きなポイントとなります。
一緒に住んでいるカップルとの違いとは?
事実婚と同棲カップルはほぼ同じではないか?と思われがちです。最も大きな違いは、お互いに夫婦であるという認識があるかどうかということになります。
周りから夫婦として扱われているかということも大切です。自分たちは夫婦だと思っているのに、周りからはカップルとして認識されていると、その関係は事実婚となります。本人たちの認識が最も大きな争点となるのです。
同棲カップルではないけれど、結婚という形は取りたくないというときには、住民票を同じところに移すことで続柄が付きます。続柄に妻(未届)、夫(未届)と記載することができ、同棲カップルとは違った関係を示すことができるのです。
住民票を同じところに移している事実婚カップルは多く、婚姻届を提出せずに互いの関係を示す方法となっています。
事実婚をする8つのメリット
事実婚をする上でどのようなメリットがあるのでしょうか。8つのメリットについて詳しく解説しました。
事実婚を検討している人、将来事実婚をすることも視野に入れている人はぜひ参考にしてみてください。
メリット①今の戸籍を変えずにいられる
結婚をすると、女性が男性の戸籍に入ることが多く、自分が元々入っていた戸籍から抜けることになります。婚姻届を提出することがなければ、戸籍が変わることもなく、今まで通りの戸籍でいられるのです。
結婚の制度は、昔から日本にある女性が嫁ぐという家制度に則っているため、男性が女性よりも優遇されているような印象がどうしても拭えません。そのため、男尊女卑とも取れる結婚の制度に反対する人もいます。
結婚の制度に反対する人や、今までと同じ戸籍のまま変わらずいたい人にとっては、今の戸籍が変わらないということは大きなメリットになるでしょう。
メリット②夫婦別姓が実現できる
現在、結婚をするなら夫婦で同じ名字を名乗ることが定められています。事実婚なら、婚姻届を提出していないため、別姓のままでいられるのです。
夫婦別姓を望む声は少なくなく、何度も夫婦別姓を求める訴訟が起こされています。どちらかの名字に統一しなければならない上に、女性が男性の名字を名乗ることが多い現時点では、当たり前のように女性が名字の変更をすることが多いです。
しかし、男性の名字に合わせるということに精神的に苦痛を感じる女性もいます。
結婚をすると別姓でいられないという現在の時点では、別姓でいるために事実婚を選ぶという夫婦も少なくありません。別姓のままでも夫婦という形をとりたい人には事実婚がぴったりです。
メリット③書類の手続きが少ない
婚姻届を提出しなければ、名字が変わることもなく、手続きをする必要がありません。そのため面倒な手続きを省く意味で事実婚を選ぶ人もいます。
婚姻届を提出して名字が変わると、様々な手続きをして、名字の変更を行わなければいけません。一部を挙げてみるだけでもかなりの数があります。
- 免許証
- 銀行関連
- クレジットカード
- 保険
- 年金
- パスポート
- 携帯電話の契約者
- 会員登録の氏名
他にも名前を登録しているものは全て変更が必要です。
平日の日中にしか変更を受付けていな場合には、変更に時間を設けなければならず、仕事で忙しい人には難しいかもしれません。書かなければならない書類も多く、予想以上に大変だと感じる人が多いです。
婚姻届を提出せず、事実婚を選ぶなら基本的には何の書類の提出も必要ありません。ただ、公的に事実婚をするということで書類を作れば、その分手続きは必要になります。
メリット④関係を解消するときに戸籍にバツが付かない
結婚をして、離婚をすると、戸籍に結婚を解消したということが残ってしまいます。事実婚であれば、戸籍に離婚をしたという明記はされないため、関係を解消したということは戸籍からは分かりません。
戸籍に×と書かれていたということで、離婚したことをバツが付くともいいます。バツ1、バツ2といった言葉を聞く機会もありますが、あまり良い印象は受けないのではないでしょうか。事実婚なら、まず籍を入れていないのでバツが付くこともありません。
結婚をするときから離婚をするときのことを考える人は少ないかもしれませんが、関係を解消したとしても戸籍を見ただけでは分からないということは一つのメリットになります。
メリット⑤面倒な親戚付き合いが必要ない
結婚をすれば、パートナーの親や兄弟、親戚も全て自分の親戚となります。しかし、事実婚なら戸籍上は他人なため、パートナーの親戚と自分が親戚の関係になることもなく、親戚付き合いは必要ありません。
結婚をすれば、元々の自分の親戚だけではなく、パートナーの親戚の分まで、冠婚葬祭の集まりやお盆、年末年始の挨拶、お歳暮などの親戚付き合いも必要となります。親戚が集まる場に行けば、緊張したり、どのぐらい手伝いをすればいいのか右往左往したりと疲れることがほとんどです。
正直なことを言えば、自分の親戚と付き合うことすら面倒な類いに感じる人も多いのではないでしょうか。事実婚を選択すれば、親戚付き合いは今まで通りでよいため、新たなコミュニティに疲れることもありません。
また、相手の親戚と折り合いが悪いときにも事実婚を選ぶことがあります。付き合い以前に、親戚になりたくないという場合にも事実婚はメリットとなるのです。
メリット⑥子連れでも関係を築きやすい
子連れで再婚をするとなると、子供の名字問題が発生します。子供が学校で名字が突然変わってしまうと、周囲から好奇の目にさらされてしまうのではないかと心配になる親も少なくありません。
事実婚なら、子連れでの再婚でも、子供の名字が変わることなく夫婦としての関係を築けるとあって、スムーズに再婚に進めます。子供の負担になることも少ないため、子供との関係も築きやすいはずです。
再婚で事実婚を選ぶ人は少なくありません。離婚を経験しているからこそ、結婚という形にこだわらず、パートナーとお互いに夫婦であると思っているなら事実婚でも問題ないからです。
子供がいることで、再婚を躊躇する人も多いですが、事実婚なら子供の今をあまり変えずに新しい家族の形を築けるのではないでしょうか。
メリット⑦パートナーと平等な関係を築きやすい
結婚は、男尊女卑な考えがあると感じる人もいます。基本的には女性が男性の名字を名乗ることになることや、男性の戸籍に入ることなど女性のほうが下に捉えられているような印象があります。
事実婚は、どちらかが上といったことはなく、平等な関係を保つことができます。どちらかの名字に統一することもなく、どちらかの戸籍に入ることも必要ありません。
事実婚は、対等な関係を築きたいと思っている夫婦に合った制度です。
メリット⑧戸籍上ずっと独身でいられる
芸能関係の仕事など、仕事柄独身でいることが必要な人もいます。そのような人でも結婚したいほど愛する人ができたときには、事実婚を選ぶことは可能です。
戸籍上では独身でいられるというメリットの恩恵を受けながら、生活自体は結婚と同じようにできる事実婚は、独身を貫きたい人に合った制度となっています。
事実婚をする5つのデメリット
8つものメリットのある事実婚ですが、デメリットもあります。事実婚をする5つのデメリットを解説しました。デメリットも理解して、事実婚を検討してみてください。
デメリット①遺産を相続する権利が与えられない
結婚をすれば、パートナーが亡くなったときに自動的に法定相続人となります。しかし、事実婚の場合は、自動的に相続するということはできません。
パートナーが亡くなったときにパートナーの遺産を相続したいなら、遺言書を書いてもらっている必要があります。ただ、事実婚の場合は相続税の控除の対象外となり、税金が大きくかかるかもしれません。
結婚をしていれば、1億6千万円までは相続税がかからないといった控除の恩恵を受けることができます。控除を受けられない分、損をしたと感じることも。
相続という観点では、デメリットが大きいため、事実婚を選ぶと遺産目的だと思われにくいという点ではメリットになり得ます。例えば、パートナーと大きく歳が離れていたり、莫大な遺産を持った人と結婚したりといったときには、事実婚のほうが遺産目的だと思われにくいです。
自動的に遺産の相続をする権利をもらえないということや相続税の控除を受けにくいということは、事実婚のデメリットといえます。
デメリット②税金が安くならない
結婚をすると、パートナーの扶養に入ることで所得税の配偶者控除を受けることができます。事実婚では、配偶者控除を受けることができないため、税金を多く払うことになるかもしれません。
事実婚でも、パートナーの健康保険の扶養に入るということは不可能ではありません。結婚であれば、戸籍を見るだけで夫婦である事実が証明できますが、事実婚の場合は、そうはいきません。
事実婚であるということを証明することで時間がかかり、健康保険の扶養に入るだけでも一苦労です。健康保険の扶養に入れたとしても、配偶者控除や医療費控除も事実婚は対象外となっているため恩恵は受けられません。
デメリット③自動的に子供の父親になれない
結婚をしている夫婦の間に子供が生まれれば、自動的に夫婦の戸籍に入ります。事実婚の場合は、母親の戸籍に子供は入り、父親は戸籍上他人のままになってしまいます。手続きをしなければ父親になれないのです。
父親であることを法的に認めてもらうには、父親が認知するしかありません。認知をしても、親権者は母親であることには変わらず、父親は親権が無い状態です。
結婚をしていれば、親権者は母親と父親の両方で、共同で親権を持っている状態となります。子供が生まれた時点では、父親として認められていないということや、親権については事実婚だからこそ感じるデメリットでしょう。
デメリット④外国人との事実婚の場合配偶者ビザがもらえない
日本人と外国人の事実婚の場合は、外国人のパートナーに配偶者ビザが与えられることはありません。
事実婚をして、日本で外国人のパートナーと暮らす場合は、配偶者ビザではなく、他の方法でビザを取得して住む必要があります。
他のビザには有効期限があるため、国際結婚をして配偶者ビザを取得したほうが日本に住みやすいかもしれません。
デメリット⑤事実婚をしていることを証明しにくい
パートナーの健康保険の扶養に入ろうとすると、事実婚を証明する必要があります。その他にも事実婚であることを証明しなければならないときが大変です。
結婚のように紙一枚で証明することが難しく、住民票を同じにしていることや、結婚式を挙げたことなどが証明の一部となります。事実婚をするときに、契約書を交わしていれば証明しやすくなるためおすすめです。
まとめ
事実婚も増えてきた今、結婚だけが全てではありません。婚姻届を出すかどうかによって、税金や子供の親としての認められ方などで違いはあるものの大きなデメリットは少ないです。
名字が変わったことによる多くの手続きが省け、忙しい人にも事実婚はメリットがあります。少し曖昧な感じはしますが、パートナーとの間に夫婦だと共通の意識があれば事実婚は基本的成り立つものです。
あとは自分たちには結婚と事実婚のどちらが合っているのかということを話し合うことが大切になります。メリットとデメリットを比較して、自分たちの将来を考えてみましょう。
▼関連記事▼
結婚する7つのメリットを解説!気になるデメリットとは?リアルな声を大調査!